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ここでは、第三章でみた新羅系(=大宰府系)と百済系(=平城系)の鬼瓦が、徐々にその特徴を共有してゆく様子について記述したい。
まず、8世紀後半から瓦作りのシステムに変化が起きる。それまで、宮御用達の鬼瓦が城郭整備の一環として周辺寺院に配られていたのが、寺院が独自の瓦を制作するようになったのである。これにより、以後それぞれの寺院で独自に多彩な意匠が展開される。
そのはじまりが京内の官寺であったので、これらは「南都七大寺式」などと呼ばれることもある。平城京所用のそれまでの瓦(百済系)と新羅系の瓦の特徴を併せ持ち、そのうえに新たな変化まで見受けられる。
すそ広がりのアーチ型基盤に、新羅系の特徴であるどんぐり目と小ぶりの宝珠円紋の縁取りを施し、新たに見られる特徴としては、鬼の下あごが無いことを特筆したい。
太宰府周辺で独自に発展する鬼瓦(新羅系列)も、同様の変化をみせている。また太宰府式は徐々に鬼面の盛り上がりをみせ、目の形もまんまるからソラマメ型になり、瞳をあらわす二重円が書き込まれるようになり、真に迫った形相の迫力ある意匠となってゆく。これらの瓦は九州全土から見つかっている。
社会的な変化でみると、瓦・鬼瓦の使用が、寺院だけでなく宮殿・役所・邸宅にも広がり、需要が拡大したことも、意匠変化を促す要因のひとつであったと思われる。
またこの頃から、上記のような鬼瓦文化の発達を受けて、鬼瓦の意匠が軒丸瓦の意匠から独立しはじめたことも重要である。
法隆寺の夢殿がその例である。9世紀頃の作で平安宮豊楽殿・内裏跡から出土した鬼瓦は、肉付きのよい顔に大きな牙、周囲に施された細やかな紋様が美しい。同じ頃の平安宮大極殿跡出土の鬼瓦は、人面を思わせる写実的な顔面の盛り上がりが異様で印象的である。