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室町中期以降、意匠は極められ、以後江戸時代まで変化が見られない。
この時期の鬼瓦は、天狗か般若を思わせる風貌のかなり立体的な鬼面に、シンプルかつ大胆にデフォルメされた顔面のパーツが盛られ、かと思えば髭や毛並みを表す繊細な線彫りが同居する。
また、鬼面のみならず瓦の基盤にも趣向が凝らされ、両脚が蕨手状に飾られたり、整然と宝珠で縁取られたりしている。
そして、鬼の角が二本になったものも普及している。眼球は瞳がくり抜かれ、憤怒の形相により緊迫感を与えている。
法隆寺金堂上重の西面降棟の鬼瓦や、同寺新堂西大棟の鬼瓦などは、この時代を代表する逸品であろう。
ちなみに文献資料を参照すると、室町時代に鬼の性質に変化が現れていることがわかる。
「お伽草子」に「鬼神に横道なしとかや」と記述されており、鬼神の行いに邪悪なものはないという意味がよみとれる。
つまり、「恐ろしい存在」から「異形の善神・頼れる存在」へと大きな転換を迎えたのである。
ちょうど室町時代あたりから鬼面鬼瓦には角が生えはじめる。鬼の姿に具体像が与えられる際、想像のベースには明かに、実在する人間や獣の姿が用いられている。このとき、鬼と人間との差異化をはかるために、角や牙という道具が発達したからではないだろうか。
ちなみに、山本忠尚氏は、能面の造作からの影響も指摘している。確かに室町以後、鬼面鬼瓦は能面といった芸能を彷彿とさせる洗練の仕方をみせているようにも感じられる。この点については、単に同時代の造形感覚と結論づけて片づけてしまうのは勿体ないように思うので、更に職人同士の接点や、共通点など深く踏み込んだ調査が俟たれる。